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袋地(無道路地・囲繞地)の土地活用「4つの方法」について解説

 
袋地の土地活用
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こんにちは。大阪府の寝屋川市・枚方市を中心にで不動産オーナーを支援している税理士の平川(@asse_t_ax)です。

生産緑地の指定期限が切れる2022年に大量の土地が宅地化する可能性があります。

生産緑地から宅地化することにより問題となるのが、数十倍から数百倍まで跳ね上がるといわれる固定資産税。

生産緑地は市街化区域にある農地が対象となっており、生産緑地を解除すると固定資産税が宅地並みに課税されることになります。

生産緑地はその面積が広大であるため、宅地になると固定資産税の金額も。。。

その結果、固定資産税を払えなくなった所有者が増え、土地を売却するしかなくなり、世の中に宅地があふれる可能性が問題視されています。

 

また、農地で多いのが、袋地や囲繞地いにょうちといわれるような道路に面していない土地。

いわゆる無道路地といわれるような土地の場合、建物を建てることができず、売却も難しくなります。

かりに売れたとしても、通常の半値以下なんてこともザラにあります。

 

そこで、今回は袋地や囲繞地の土地活用の方法について検討していきたいと思います。

袋地・囲繞地とは

囲繞地と袋地

囲繞地と袋地

「袋地」とは、周囲を土地に囲まれており、道路に面していない土地のことをいいます。

また、袋地を取り囲んでる土地は「囲繞地」と呼ばれます。

袋地はそれ単体では存在することがなく、必ず囲繞地とペアで存在します。

昔からの農地の場合、袋地であることが多いのですが、その他にも、土地所有者に相続が発生し、遺産分割のために土地を分筆し相続した場合、後天的に袋地となるケースもあります。

道路までの通路の確保について

袋地は土地に面していない無道路地であるため、「道路と土地を結ぶ通路の確保をどうするか」という問題があります。

 

結論としては、袋地から公道に出るための手段として、「囲繞地通行権」と「通行地役権の設定」の2つが考えられます。

囲繞地通行権

「囲繞地通行権」は、民法の210条から213条において規定されています。

第210条
 「他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者」は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
2 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖がけがあって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。

第211条
前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
2 前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。

第212条
 第二百十条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。
ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。

第213条
分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。
この場合においては、償金を支払うことを要しない。
2 前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。

袋地の所有者が、自身の土地へアクセスできないということになれば、その土地を活用できず、遊休地となってしまいます。

そうなると、治安や景観の悪化をまねき、国としても困るので、法律で通路を確保してくれているのです。

 

囲繞地通行権は、土地が袋地となった時点で自動で権利が発生する強力な権利ですが、強力であるが故に、通路の確保には必要最低限しか認められていません。

その幅は、通常、人1人が通行できる1mくらいのもの。

当然、車の通行などは不可です。

 

また、通路の場所も囲繞地の所有者の権利をできるだけ侵害することのない、端っこの部分だけなどの制限があります。

囲繞地通行権

囲繞地通行権

212条と213条では、「囲繞地通行権の通行料」について規定されています。

要約すると、その袋地の形成が先天的なものであれば、通行料を支払う義務があり、後天的なものであれば通行料を支払う義務がないということになります。

例えば、四方を河川やがけなどに囲まれており、元から袋地と囲繞地の関係にあるのであれば、「先天的な関係」といえるでしょう。

一方で、遺産分割などで、同一区画の土地を分筆してできた袋地と囲繞地の関係であれば、「後天的な関係」になります。

 

囲繞地通行権の特徴をまとめると以下のようになります。

📝【囲繞地通行権の特徴】

  • 袋地となった時点で自動で付与される権利
  • 袋地が解消すれば、権利も消滅
  • 通路幅は、人が1人通行できる必要最低限のみ
  • 通路の場所は、囲繞地の所有者にとって最も影響の少ない部分に限定
  • 袋地の形成要因が遺産分割のさいに分筆してできた場合など、後天的な要因であれば通行料は必要ない

通行地役権

「通行地役権」は、囲繞地通行権と異なり、自動で付与される権利ではなく、袋地と囲繞地の所有者の契約により発生する権利になります。

契約により成立する権利であるからこそ、融通が利くところも通行地役権の特徴。

囲繞地通行権は、通路幅や場所を制限されていましたが、通行地役権であれば、両者の合意により自由に設定することができます。

囲繞地のド真ん中に設定するなんてこともOKです。

通行地役権設定による対価も当事者の合意があれば無償でも可能となります。

 

なお、通行地役権は、通行のための権利であるので、車の通行は可能ですが、駐車はできないので注意が必要です。

駐車する必要があるのであれば、「賃借権」を設定する必要があります。

 

「登記の可否」については、囲繞地通行権と異なり、「通行地役権」は第三者への対抗手段として登記が可能です。

登記は、相手と共同で申請することになります。

後々トラブルにならないよう、通行地役権を設定したときは登記をするようにしましょう。

 

通行地役権の特徴をまとめると下記の通り。

📝【通行地役権】

  • 契約により、通路幅、場所は自由に設定可能
  • 登記できる
  • 当事者の合意があれば、無償でもOK
  • 車の通行可。駐車はNG!

無道路地の土地活用のパターン

無道路地(袋地・囲繞地)の土地活用について考えられるパターンとしては、下記が考えられます。

📝【無道路地の土地活用パターン】

  1. 通行権を利用し、建物を建てる
  2. 通路部分の購入
  3. 共同売却
  4. 等価交換

1つずつ見ていきましょう。

(1)通行権を利用し、建物を建てる

建物を建てるためには、「建築基準法」を遵守している必要があります。

建物の建築は、建築基準法上「4m以上の道路に2m以上接道」が条件。

そのためには、通路を確保する必要があります。

 

袋地の通路の権利については、前掲のとおり「囲繞地通行権」と「通行地役権の設定」の2パターン。

そのうち、「囲繞地通行権」に関しては、人が1人通れる必要最低限の通路しか認められておらず、車の通行などはできません。

「囲繞地通行権」を根拠として、建物の建築確認申請が下りることはほとんど無いと考えられます。

建物の建築をするには、通路幅2m以上の「通行地役権」を設定し、通路箇所を明確にしておく必要があります。

賃貸マンションなどの収益物件であるならば、車の通行も考えて、4mから6mの幅員がほしいところ。

 

また、権利設定地が売却されたときに、新たな所有者へ権利を主張するために必ず登記をしておきましょう。

(2)通路部分の購入

「一番シンプルで、後のトラブルが少ない方法」が、通路部分を購入してしまう方法。

しかし、購入には「土地の購入代金」のほか、「測量・分筆・登記・鑑定評価」などさまざまな諸経費がかかるのがデメリットになります。

ある程度の資金力がないと難しいですが、袋地のまま売却するよりも、「通路購入後の売却金額」や「収益物件による使用収益」のほうが最終的に大きくなるのであれば、検討する余地があります。

(3)共同売却

ここでいう「共同売却」とは、「袋地の所有者」と「囲繞地の所有者」が共同で土地を売却することを言います。

袋地の所有者からすれば、通路部分をセットで売却することにより、「袋地」ではなく「旗竿地」として売却することができるので、売却金額が大幅に増額します。

また、通路の購入代金やその他諸経費がかからないため、自分のふところを傷めずに売却できるメリットも。

 

問題は、囲繞地の所有者が共同売却に応じてくれるか。。。

囲繞地の所有者にとって、共同売却はそれほどメリットがないため、ビジネスの基本原則である「Win-Winの関係」が成立しにくいのです。

日ごろから、囲繞地の所有者との関係を良好に築いており、その土地を有効活用できていないようであれば、共同売却の話を持ち掛けてみてはどうでしょうか。

(4)等価交換

等価交換前の土地

等価交換前の土地

通路部分を取得することにより、「袋地」から「旗竿地」に。

等価交換後の土地

等価交換後の土地

囲繞地の所有者から、「通路部分を購入する方法」の場合、その土地に含み益があると、売主は譲渡所得税を負担しなければなりません。

税負担が障壁となって、土地が有効活用されないのは国も困ります。

 

そこで、所得税法58条により、「固定資産の交換の特例」という制度が設けられています。

「固定資産の交換の特例」は、固定資産の交換をした場合に「一定の要件」を満たしていれば、譲渡がなかったものとして課税を繰り延べる制度。

必要な費用が少なく、袋地の所有者はまず第一に検討したい方法です。

📝【交換特例の要件】

  1. 交換取得資産と交換譲渡資産が同種類の固定資産であること
  2. 交換取得資産と交換譲渡資産を交換目的で取得しておらず、それぞれ1年以上所有していたこと
  3. 交換取得資産を交換譲渡資産の交換直前の用途と「同じ用途」に供すること
  4. 交換取得資産と交換譲渡資産との時価の差額が、これらの資産の時価のいずれか高い方の価額の「20%以内」であること

 

等価交換は、譲渡所得税がかからないため、袋地の解消方法としてよく活用されている方法ですが、「交換比率」をどうするかという問題があります。

税務上は、交換の当事者同士が親類などの特殊な関係にない間柄であれば、当事者の合意した交換比率で問題ありません。

それが「1:1」であれ「1:10」であっても。

実務上は、袋地の価値のほうが低くなると考えられるため、通路部分と袋地の交換比率は「1:2」や「1:3」程度となることが一般的です。

【注意】

交換のさいに、交換差金のやり取りがあると「要件4」に抵触し、等価交換の要件を満たさなくなる可能性があります。

交換相手が親族である場合や交換差金のやり取りがある場合には、土地の鑑定評価を行い、適正な時価を算出し、「要件4」に引っかからないよう注意が必要です。

また、現状農地となっている袋地に通路をつけて建物を建築しようとしている場合などは、交換前に「農地転用の届出」や「宅地造成」をして、交換対象地を宅地化しておく必要があります。

その他にも、分筆のために測量が必要だったり、不動産会社とのスケジューリングだったりと、関係者が多くなり、気を付けなけらばならないことが山ほど。。

「等価交換」は、さまざまな関係者と連携して進めていかなければなりませんので、事前に税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

まとめ

袋地は、そのままでは活用することが難しく、相続などをきっかけに土地の維持管理が難しくなり、放棄地となってしまうことが多々あります。

2022年に生産緑地の指定期限が切れ、生産緑地が解除されると固定資産税が跳ねあがり、さまざまな問題が表面化される可能性も。

袋地であっても、土地活用の方法は十分考えられるので、問題を先送りにせず、有効な土地活用を図りましょう。

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