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【固定資産の等価交換の特例】交換取得資産を譲渡資産と「同一の用途」に供するとは?

 
等価交換の特例
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こんにちは。大阪府の寝屋川市・枚方市を中心に不動産オーナーを支援している税理士の平川(@asse_t_ax)です。

土地の有効活用の1つとして、所法58条に規定される「土地建物の交換をしたときの特例」、いわゆる「固定資産の等価交換の特例」を利用した土地活用の方法が考えられます。

 

昨今は、「2022年問題」ともいわれ、大量の生産緑地が宅地化されることにより固定資産税が倍増。 その結果、 固定資産税を支払えなくなった地主さんを狙った賃貸マンションが乱立し、廃墟や空室が増える危険性が予想されます。

先祖代々からの土地であれば、その所有関係が複雑であったり、公道に面していないため、建築基準法の建築要件を満たさず、そのままでは建物の建築も不可能であるため、「固定資産の等価交換の特例」による土地活用の方法も増加していくものと考えています。

 

本記事は、「固定資産の等価交換の特例」の適用を受けるための要件の1つである、交換取得資産を交換譲渡資産と「同一の用途に供する」という部分にフォーカスして解説しています。

等価交換とは

「等価交換」は、読んで字のごとく、価値が同等のモノを「譲渡」ではなく「交換」により行うこと。

ここで「交換」という取引を、さらに紐解いて見てみましょう。

「交換」という取引の実態は、取引の当事者であるAとBがお互いに、

  1. Aが所有するモノをBに譲渡
  2. AがBからモノを購入

することになります。

交換の場合は、双方のモノの価値が同等であれば、1の譲渡時と2の購入時に現金のやり取りがありません。

つまり、交換といえども、その経済的な実態は、「譲渡」と「購入」をほぼ同時期に行うものであり、譲渡資産に含み益があれば「譲渡所得」が発生し、税金を納める必要がでてきます。

 

「等価交換の特例」は、さまざまな要件がありますが、上記1の譲渡時に譲渡所得税が発生したとしても、その譲渡がなかっとものとみなしてくれる特例になります。

 


📝【等価交換の特例の要件】

  1. 交換譲渡及び取得資産が同種類の固定資産であること
  2. 交換譲渡及び取得資産をそれぞれ1年以上所有&交換目的の取得でない
  3. 交換取得資産を交換譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供すること
  4. 交換譲渡及び取得資産の価額の差が、両者の価額のいずれか高い方の価額の20%以内であること

「同一の用途に供する」ということについて

交換取得資産を交換譲渡資産と「同一の用途に供した」かどうかの判定は、資産の区分に応じて判断することになります。

所基通58-6において、資産区分が明記されています。

📝【資産区分一覧】

  1. 土地 
    宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場又は原野、その他の区分
  2. 建物 
    居住の用、店舗又は事務所の用、工場の用、倉庫の用、その他の用の区分
  3. 機械及び装置 
    その機械及び装置の属する減価償却資産の耐用年数等に関する省令の一部を改正する省令
  4. 船舶
    漁船、運送船(貨物船、油そう船、薬品そう船、客船等をいう。)、作業船(しゅんせつ船及び砂利採取船を含む。)、その他の区分

まずは、上記の資産区分の一覧で、交換する資産がどこに当てはまるかを確認しましょう。

駐車場は宅地と交換できるか

結論からいうと、その土地が周囲の状況からみて「いつでも建物を建てられる状態」にあるのであれば、登記簿上の地目が雑種地であっても宅地として取り扱うことができます。

では、「いつでも建物を建てられる状態」とはどういう状態を指すか。

上図のように、周辺が市街地であり、一般にいう青空駐車場として利用されている土地であれば、いつでも建物を建てられる状態といえるでしょう。

 

一方、アスファルト舗装がされていたり、コインパーキングのようにフェンスや機械設備などのような永続性のある施設を備えた駐車場であれば、いつでも建物を建てられる状態とはいえず、宅地と同様に扱うのは難しくなります。

家庭菜園の地目区分

土地の地目区分については、不動産登記事務取扱手続準則の第68条と69条に規定されています。

一般的に、「宅地」とは、「建物の敷地及びその維持もしくは効用を果すために必要な土地」とされています。

つまり、その土地を部分的に見て判断するのではなく、その土地一体がどのような目的で利用されているかが重要です。

そのため、建物の敷地の一部で「家庭菜園」をしていたとしても、「宅地」として取り扱うことになります。

借地権と底地の交換

所得税法58条1項によると、「土地」とは、「建物又は構築物の所有を目的とする地上権及び賃借権並びに耕作権を含む」と規定されているので、借地権は土地と同様に取り扱われることになります。

また、借地権とは「建物の所有を目的とした権利」であるため、その用途は「宅地」と考えられます。

したがって、「借地権」と「宅地」がその他の要件を満たしていれば、等価交換の特例の適用を受けることが可能です。

同一の用途に供する時期について

農地を宅地に造成しまたは住居を改造して店舗にしてから交換をするといった「用途の転用」を伴ったケースでは、その「区分変更の時期」が問題に。

基本的には、交換取得資産を「交換の日の属する年分の確定申告書の提出期限」までに同一の用途に供していればOK。

 

また、造成および改造が完了していない場合であっても、確定申告書の提出期限までに工事に着手していれば「等価交換の特例」を受けることができるとされています。

同一の用途に供さなければならない期間は?

交換取得資産を譲渡直前の用途と同一の用途にどれくらいの期間供さなければならないのかは、明確に規定されていません。

「同一用途の供用期間」について争われた判例があるので、実務上は1つの参考になるかと思います。

同一用途の供用期間が短期間ではあるが認められた事例

この事案は、平成12年に争われた裁決事例になります。

 

交換譲渡資産であるA土地の交換前の用途はマンションの進入路。交換時には登記簿上「宅地」として登記済み。

一方、交換取得資産であるB土地の交換前の用途は竹やぶでしたが、交換前に盛り土がなされ、平坦地に。

また、農地転用の届出もされており、その使用用途は露天駐車場。併せて登記地目についても雑種地として登記済みでした。

 

課税庁は、A土地とB土地はそれぞれ「宅地」と「雑種地」であり、交換時において用途区分が異なるため交換特例の適用は受けられないという処分を下しましたが、国税不服審判所は、B土地は「宅地に準ずる土地」として課税庁側の処分を取り消しました。

 

なお、この事案で問題となったのは、用途区分の判定だけでなく、その「供用期間」についても争われています。

請求人は、交換により取得したB土地を、交換の2か月後に売却しているのです。

この2か月間を長いとみるか短いとみるか。

筆者個人的に2か月間では、その交換が売却目的として当局に判断されても仕方ない気はしますが、審判所は結果として、2か月間の供用期間を相当と認め、交換特例の適用を認めました。

 

今回の事例では、請求人がなぜB土地を売却したのかという背景が明らかにされておらず、その「売却理由の程度の重要性」には疑問が残りますが、納税者としては大変参考になる事案かと思います。

農地を交換により取得後、どの程度の期間利用しなければならないか

これは、判例ではありませんが、ある税理士会への相談事例として公表されています。

 

相談者は、交換により隣人から農地を取得しましたが、交換後その土地に賃貸用マンションを建設して家賃収入を得たいと考えています。

交換後、どれくらいの期間農地として利用しなければならないでしょうか。

 

税理士会の回答としては、農業の事業サイクルが1年であること及び交換特例の要件の1つに譲渡直前の所有期間が1年以上と定められていることから、1年程度農地としての利用実績を残せば交換特例の適用を受けることができるだろうとしています。

 

「2022年問題」により、固定資産税の負担を避けるため、このようなケースが多々発生することが予想されます。

農地の利用実績は1年以上残すようにしましょう。

まとめ

「等価交換の特例」は、土地の譲渡をなかったものとみなし、譲渡所得税を将来に繰り延べてくれる税制上の優遇規定であり、土地活用の1つとしてぜひ検討してもらいたい方法になります。

今後は「2022年問題」の影響により、一層土地の交換が活発に行われる可能性が予想されます。

数ある税制の中でも、「等価交換の特例」は、とても複雑な制度となっており、さまざまな専門家の力を借りる必要があるので、土地の交換を考えているオーナーは、事前に税理士などの専門家にご相談ください。

 

袋地などの土地活用の方法としても等価交換の特例は有効な手段となりますので、下記の記事もあわせてご覧ください。

袋地(無道路地・囲繞地)の土地活用「4つの方法」について解説

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