【マンション購入】個人事業主は何が経費になる?自宅・賃貸・事務所兼用で解説。

この記事の結論
マンションを買っても購入代金・頭金・ローン元本は一度に経費になりません。経費になるのは、事業に使う部分の建物の減価償却費、ローン利息、固定資産税などで、賃貸用はほぼ全額、自宅兼事務所は按分、完全な自宅はゼロが基本です。
こんにちは。大阪府柏原市を拠点に、大阪府内外の不動産オーナーを支援している税理士の平川( @asse_t_ax )です。
副業や個人事業をしながら、マンションの購入を考える方は多いのではないでしょうか。
そこでよく聞かれるのが「買ったら経費になるの?」という質問です。
答えは、そのマンションを何に使うかで大きく変わります。
マンションの購入代金って、買った年にまるごと経費になるんですか?
大家さん
残念ながら、購入代金を一度に経費にすることはできません。経費になるのは「事業に使う部分」の減価償却費・利息・税金などですね。
ひらかわ
今回は、賃貸用・自宅兼事務所・完全な自宅の3つに分けて解説します。
結論だけ知りたい人は、第2章の早見表をご覧ください。
結論:マンション購入で経費になるのは何?
事業に使う部分の「減価償却費」「ローン利息」「固定資産税などの税金」が経費になります。購入代金・頭金・ローン元本は、支払った年に一括で経費にはなりません。
「減価償却費」とは、建物の購入代金を耐用年数にわたって少しずつ経費にする仕組みです。
土地は時の経過で価値が減らない資産なので、減価償却できません。
- 建物部分:減価償却で分割して経費
- 土地部分:経費にならない(売却時に取得費として差し引く)
- 頭金・ローン元本:経費にならない
- ローン利息・固定資産税・管理費:事業に使う部分は経費
根拠法令は、必要経費が所得税法37条、減価償却が所得税法49条です。また、生活費にあたる「家事費」は所得税法45条1項1号で経費にできないとされています。
合わせて読みたい:【不動産賃貸業における経費】~個人編~「減価償却費」について
用途別の早見表:賃貸用・自宅兼事務所・自宅でどう違う?
賃貸用はほぼ全額、自宅兼事務所は事業で使う割合だけ、完全な自宅はゼロが基本です。
| 項目 | 賃貸用 | 自宅兼事務所 | 完全な自宅 |
|---|---|---|---|
| 建物の減価償却費 | ○ | △按分 | × |
| ローン利息 | ○※ | △按分 | × |
| 固定資産税 | ○ | △按分 | × |
| 管理費・修繕積立金 | ○ | △按分 | × |
| 頭金・ローン元本 | × | × | × |
| 所得の区分 | 不動産所得 | 事業所得など | - |
※土地部分の利息は、赤字のときに注意が必要です(下記参照)。
賃貸用(不動産所得)の場合
入居者に貸すなら、表の費用は基本的に不動産所得の必要経費になります。
ただし、不動産所得が赤字になった場合、「土地を取得するための借入金の利子」に対応する赤字部分は、給与所得などと損益通算できません(租税特別措置法41条の4)。副業大家さんは、ここで想定がズレがちです。
中古マンションの耐用年数は「簡便法」で計算するケースが多いです。
- 計算式:(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
- RC造の住宅用の法定耐用年数:47年
- 例:築20年の場合 (47-20)+20×20%=31年
自宅兼事務所(事業所得など)の場合
自宅と事業の両方に使う費用は「家事関連費」と呼ばれます。業務に必要な部分を明らかに区分できる場合に限り、その部分を経費にできます(所得税法施行令96条)。
- 按分の基本:事務所専用の部屋の床面積÷専有面積
- 使用時間の割合は、補助的な根拠になると考えられます
- 家族と共用のリビングで作業している場合は、説明しにくくなりがちです
注意したいのは、経費の割合を大きくすれば得、とは限らないことです。
住宅ローン控除は居住用部分だけが対象で、床面積の2分の1以上を自分が住むために使っていることが要件とされています(国税庁タックスアンサー No.1211-1・1211-3)。マンションの床面積は、登記上の専有部分の面積で判断します。将来売却するときの3,000万円特別控除も、事業用部分は対象外になる場合があります。
完全な自宅の場合
家事費になるので、経費にはできません。
ただし、後から賃貸や事務所に転用した場合は、その時点から減価償却できます。
このとき、自宅として使っていた期間の分は、法定耐用年数の1.5倍の年数を使って旧定額法で「減価の額」を計算し、取得価額から差し引いた残りを転用した日の未償却残高とします(国税庁タックスアンサー No.2109)。
数年前に購入した自宅を資産計上。開業前に購入した持家も経費に。
マンションを買った年にやることは?
取得価額の内訳を整理し、土地と建物に分けることです。初年度の処理が、その後数十年の減価償却を決めます。
取得価額の内訳を整理する
| 費用 | 個人の扱い(事業用部分) |
|---|---|
| 購入代金(建物・土地) | 取得価額 |
| 仲介手数料 | 取得価額(土地・建物に按分) |
| 固定資産税清算金 | 取得価額 |
| 不動産取得税・登録免許税 | 必要経費(事業用部分) |
| 売買契約書の印紙税 | 経費にできると考えられます |
| ローン保証料 | 期間に応じて経費 |
個人の場合、業務用資産の不動産取得税・登録免許税は必要経費に算入するとされています(所得税基本通達37-5)。建物の登録免許税は、取得価額に算入しない扱いです(同49-3(3))。
土地と建物を按分する
売買契約書に建物価格や消費税額が書かれていれば、それを使うのが基本です。土地は消費税が非課税なので、消費税額から建物価格を逆算できます。
記載がなければ、固定資産税評価額の比率で按分する方法が一般的です。
合わせて読みたい:【取得価額の算定】土地と建物を一括購入!適正な按分方法を解説します!
固定資産税清算金は取得価額に入れる
売主に日割りで払う「固定資産税清算金」は、税金そのものではなく売買代金の一部と考えます。
なので、買主側では租税公課ではなく取得価額に含めます。
なお、減価償却は「事業の用に供した日」から月割りで始まります。賃貸なら入居者募集を始めた時期が目安になるケースが多いです。
まとめ:買う前に「用途」を決めておく
- 購入代金・頭金・元本は一度に経費にならない
- 建物は減価償却、土地は償却なし
- 賃貸用はほぼ全額、自宅兼事務所は按分、自宅はゼロ
- 初年度に内訳整理と土地建物の按分をキチンと行う
以上、ご参考ください。
よくある質問
Q1. 頭金は経費になりますか?
A. なりません。頭金は購入代金の一部なので、建物部分は減価償却を通じて少しずつ経費になります。
Q2. ローン元本の返済は経費になりますか?
A. なりません。経費になるのは利息部分だけです。返済予定表で年間の利息額を確認しましょう。
Q3. 自宅兼事務所の按分割合に上限はありますか?
A. 決まった上限はなく、実際の使用状況で判断します。床面積割合を基本に、間取り図などで説明できるようにしておくのが安心です。

