【減価償却】システムキッチンの耐用年数は何年?建物・建物附属設備・器具備品の区分を解説。

この記事の結論
システムキッチンの耐用年数は一つに決まっていません。工事の内容によって「建物」「建物附属設備」「器具及び備品」のどれに当たるかが変わり、年数もそれに従います。木造の建物なら、附属設備を建物とまとめて建物の年数(住宅用22年)で償却する方法もあります。システムキッチンを名指しした通達は無いため、見積書・請求書の内訳を見て物件ごとに判断します。
こんにちは。大阪府柏原市を拠点に、大阪府内外の不動産オーナーを支援している税理士の平川( @asse_t_ax )です。
賃貸物件のキッチンを入れ替えたあと、「何年で減価償却すればいいの?」と悩む大家さんは多いのではないでしょうか。
実はシステムキッチンには、「この年数」と一つに決まった答えがありません。
キッチンを丸ごと替えました。耐用年数は何年ですか?
大家さん
結論から言うと、工事の中身しだいで区分が分かれます。「キッチンなら何年」と一律には決まっていないんです。順番に見ていきましょう。
ひらかわ
今回は、システムキッチンの耐用年数の考え方を整理します。
システムキッチンの耐用年数は、入替えの形で何年になる?
耐用年数は、キッチンが「建物」「建物附属設備」「器具及び備品」のどれに当てはまるかで決まります。
年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表第一に定められています。キッチンの工事に関係しやすい区分は次の3つです。
| 区分(別表第一) | 当たりやすい部分 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 建物 | 壁・床・天井の造り替えなど、建物の内部造作として施した部分 | 住宅用:木造22年、鉄筋コンクリート造47年 |
| 建物附属設備「給排水又は衛生設備及びガス設備」 | 給排水管・ガス管など、建物に附属する設備の部分 | 15年(木造などの建物は、建物とまとめて建物の年数にすることもできる) |
| 器具及び備品「家具、電気機器、ガス機器及び家庭用品」 | 取り外して使える機器(ビルトインでない食洗機・コンロなど) | 電気冷蔵庫・電気洗濯機その他これらに類する電気又はガス機器は6年 |
システムキッチン本体がこのどれに当たるかは、通達にも名指しの定めがありません。表は「工事のどの部分がどの区分に当たりやすいか」の目安で、実際の当てはめは物件の構造と工事の内容を見て判断します。
建物と建物附属設備は、平成28年4月1日以後に取得した分は定額法のみです。選べる償却方法は一つしかありません。
建物・附属設備・器具備品の分かれ目は、造り付けかどうか?
判断の軸は、建物に取り付けられ、建物と一体として使われているかどうかです。
手がかりになるのは「耐用年数の適用等に関する取扱通達」の次の2つです。
- 1-2-3:建物の内部に施した造作は、建物附属設備に当たるものを除き、建物に含めて建物の耐用年数を使う
- 2-2-1:建物附属設備は原則として建物と分けるが、木造・合成樹脂造り・木骨モルタル造りの建物の附属設備は、建物とまとめて建物の耐用年数を使うことができる
木造アパートでキッチンを入れ替えたなら、附属設備に当たる部分も含めて建物の年数(住宅用22年)でまとめる、という選び方ができます。鉄筋コンクリート造の場合はまとめる取扱いが無いため、部分ごとに区分を考えることになります。
考え方の目安は次のとおりです。
- 給排水管・ガス管の工事 → 建物附属設備(木造などなら建物とまとめることもできる)
- 壁・床の造り替えや造り付けの収納など、建物の内部造作 → 建物
- 置くだけで、取り外して使える機器 → 器具及び備品
ガスコンロだけ別に買って、はめ込んだ場合はどうなりますか?
大家さん
ここが迷いやすいところですね。キッチン本体とコンロを一体の資産として見るか、別の資産として見るかで年数が変わる場合があります。見積書や請求書の内訳を残しておくと、判断しやすくなりますよ。
ひらかわ
迷ったときは、「何を一つの資産として取得したのか」を契約書や請求書から確認します。内訳が分かれていれば、別々に判定できる場合もあります。
取得価額が10万円未満のものは、全額をその年の必要経費にできます。青色申告をしている中小事業者なら、令和8年4月1日以後に取得したものは40万円未満まで全額を必要経費にできる特例があります(租税特別措置法28条の2・年300万円まで・令和11年3月31日までに取得したもの)。令和8年3月31日以前に取得したものは、改正前の30万円未満が基準です。
建物の構造ごとの年数や、構造が混在する場合の考え方は、2つ以上の構造(混構造)がある場合の耐用年数も参考になります。
耐用年数の前に、修繕費で落ちる場合はあるのか?
耐用年数を考えるのは、資産計上(資本的支出)になると判断した場合です。その判断は別の論点です。
キッチンの入替えは、一般に資本的支出になるケースが多いと考えられます。ただし、パーツごとの修理など、修繕費に区分できる場合もあります。判断の詳細は、お風呂とキッチンの入替えは経費にできない。解体費・パーツごとの修理は?で解説しています。
資産計上した場合は、事業の用に供した月から月割りで償却します。減価償却の基本は【不動産賃貸業における経費】~個人編~「減価償却費」についてを見てください。購入直後のリフォームとの関係は賃貸物件を購入後にリフォーム。一括で経費にできるか。事例別に解説。が参考になります。
手順は、まず修繕費か資本的支出かを判断し、資本的支出ならキッチンの区分を決め、最後に耐用年数を当てはめる流れです。以上、ご参考ください。
よくある質問
Q1. システムキッチンの耐用年数は、15年と考えてよいですか?
一律に15年とは言えません。15年は建物附属設備「給排水又は衛生設備及びガス設備」の年数で、建物の内部造作に当たる部分は建物の年数、取り外せる機器は器具及び備品の年数になります。木造などの建物なら、附属設備を建物とまとめて建物の年数にすることもできます。
Q2. ガスコンロや換気扇は、キッチン本体と別に償却しますか?
請求書で内訳が分かれ、取り外せる機器であれば、別の資産として扱える場合があります。一体で取得したときは、全体を一つの資産と見る考え方もあります。
Q3. キッチンの入替え費用は、そもそも経費にできますか?
入替え全体は資本的支出として資産計上するケースが多いと考えられます。一方、パーツごとの修理は修繕費になる場合もあります。判断はこちらの記事を参照してください。

