こんにちは。大阪府の寝屋川市で不動産オーナーを支援している税理士の平川(@asse_t_ax)です。
今回は、不動産管理会社にとって、最大の節税ツールである「倒産防止共済」をご紹介したいと思います。
【注意】
個人事業主も加入はできますが、不動産賃貸業は除外されています
倒産防止共済とは
倒産防止共済は、別名「経営セーフティ共済」とも呼ばれ、その運営母体は、「(独) 中小企業基盤整備機構(中小機構)」になります。
その歴史はかなりふるく、昭和53年4月から続いています。
中小機構は、独立行政法人であるため非常に公共性が高く、民間の生命保険会社などと比べて、経営破綻のリスクが低いこともメリットの一つであるといえます。
不動産賃貸業における最大のメリット
倒産防止共済は、そもそも中小企業の取引先が倒産してしまったときなどの連鎖倒産を防ぐことを目的としてスタート。共済契約者に対して、臨時に資金が必要になったときに、「一時的にお金を貸し付けてあげるよ」というのが第一の目的でした。
ですが、不動産オーナーが「倒産防止共済に加入する目的」は、この「一時貸付金の制度」を利用することではありません。
不動産オーナーが「倒産防止共済に加入する最大の目的」は、節税しながら、将来の大規模修繕などの大きな出費に備えて、お金をプールすることです。
共済金の掛金は、
- 全額法人の損金にできる。
- 40か月以上の加入で、自己都合の解約でも、全額返ってくる。
- 掛金月額は5,000円~20万円まで自由に選べる。
などのメリットがあり、税制上、とても優遇されています。
また、将来の大規模修繕費用を、前もって毎期計上していくことにより、不動産賃貸業のキャッシュフローと利益を平準化することができるのも、大きなメリットといえるでしょう。
その他の修繕積立金を積み立てる方法
倒産防止共済以外に不動産オーナーが修繕積立金を積み立てる方法としては、下記の方法が考えられます。
「生命保険の活用」についても、支払う保険料の全額または一部を損金として計上しながら、大規模修繕費用をプールすることが可能ですが、
- 大規模修繕の時期は物件によってズレがあるので、解約返戻金のピークに合わせるのが難しい
- 全額損金だと、返戻率が低い
などのデメリットがあります。
大規模修繕費用が800万円をこえることが予想される場合には、「倒産防止共済の補助」として、生命保険の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
なお、「定期預金での積立」については、単純に毎月一定の金額を通帳に積み立てていくだけであり、その積立額を損金として計上することはできません。
定期預金の利息についても、すずめの涙くらいのものであり、わざわざ定期の口座を開設するメリットもありません。
あえて、「定期預金のメリット」をあげるなら、プールしているお金をいつでも引き出すことができるという点ですが、大規模修繕は不動産を経営している限り、必ず発生するコストですので、倒産防止共済や生命保険のように、プールしているお金を外部で管理してもらうべきです。
法人で修繕積立金を積み立てる場合は、まず、倒産防止共済に加入することを検討しましょう。
倒産防止共済の解約のタイミングは重要
倒産防止共済の掛金は、支払ったときに損金にできるのですが、解約したときに、解約金が全額「益金」となることに注意が必要です。
会社の利益は、
で計算されますので、「倒産防止共済の解約」は、必ず大規模修繕と同じ事業年度でおこなうようにしなければなりません。
大規模修繕のタイミングとは異なる事業年度に、倒産防止共済を解約をしてしまうと、益金だけが大きく計上されてしまい、多額の法人税を納税しなければならなくなってしまいます。
倒産防止共済の詳細については、中小機構のホームページ をご参照ください
まとめ
法人で修繕積立金を積立てるには、全額損金に計上できる倒産防止共済がベストです。
倒産防止共済の加入上の注意点としては、解約時に「益金(収入)」として計上しなければならないので、大規模修繕のタイミングに合わせて、収入と経費を相殺することが重要になります。
なお、倒産防止共済の掛け金は総額で800万円が限度となりますので、大規模なマンションなどであれば、「生命保険の活用」も合わせて検討する必要があるでしょう。
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